2025.07.02(Wed) - 10:35 - 10:35 am
健康診断の血液検査項目 スタッフブログ
健康診断の血液検査項目
『健康診断の血液検査って、異常があってもよくわかりません』
診療中、こんなお話をよく伺います。雇入時健康診断・企業定期健康診断・市区町村など自治体で行っている健康診断では検査結果を健康診断証明書や報告書でもらう事ができますが、アルファベットと数字がびっしり並んでいて、見ているだけで頭が痛くなってしまいますよね。
血液検査の項目にはどんなものがあるでしょうか?今日は普段患者さんからよく質問される項目を中心に、できるだけわかりやすくお話ししてみたいと思います。
甘いものが好きな方は要チェック 血糖値の話
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、血糖は血糖に関するものです。糖尿病についての検査値ですね。
血糖値って、朝ごはんを食べた後だと高くなるし、お腹が空いている時は低くなる。だから健康診断では朝食抜きで検査を受けることが多いんです。でもHbA1cは違うんですよ。これは過去1〜2か月間の血糖値の「成績表」みたいなもので、検査前に慌てて甘いものを控えても手遅れなんです(笑)。
「先生、血糖値がちょっと高いって言われたんですけど、もう糖尿病ですか?」なんて青ざめた顔で来院される方もいらっしゃいます。でも大丈夫、境界型の段階なら食事に気をつけて軽く体を動かすだけで、びっくりするほど改善することもあるんです。
腎臓は働き者 でも無理は禁物
尿素窒素、クレアチニン、尿酸は腎機能に関するものです。腎臓が傷んでいないか、痛風になる兆しはないかがわかる検査値です。
腎臓って本当によく働いてくれる臓器で、1日に150リットルもの血液をろ過してくれているんです。すごいでしょう?でも無理をさせすぎると、だんだん疲れてきてしまいます。クレアチニンや尿素窒素の数値が上がってくるのは、腎臓が「ちょっと疲れたよ」とサインを出している状態なんです。
尿酸値については、「ビール飲みすぎました」と苦笑いしながら結果を持参される男性が多いですね。確かにビールには尿酸のもとになるプリン体が多いんですが、実は肉や魚の内臓、いくらなんかの魚卵類にも多く含まれています。お酒を控えるだけじゃなくて、こういった食品もほどほどにしていただけると良いですね。
肝臓は文句を言わない優等生
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPは肝機能に関するものです。脂肪肝、アルコール性肝障害、肝炎などないか調べます。
肝臓って本当に我慢強い臓器で、多少無理をしても文句一つ言わないんです。だからついつい甘えてしまいがちなんですが、血液検査の数値に現れた時には「実はけっこう疲れてたんです」ということが多いんですよね。
ASTとALTは肝臓の細胞が壊れると血液中に漏れ出してくる物質です。γ-GTPはお酒好きの方にはおなじみかもしれませんね。「昨夜も飲みすぎちゃって」と言いながら結果を見せてくださる方、けっこういらっしゃいます。でも心配しないでください。肝臓は再生能力が高い臓器なので、休肝日を作ったり量を控えめにしたりすれば、案外早く数値が改善することもあるんです。体質的にγGTPが高い人もいます。かかりつけの先生に相談してみてください。
忘れちゃいけない その他の大切な数値たち
コレステロールや中性脂肪の話になると、「揚げ物ばっかり食べてるからかなあ」なんて苦笑いされる方が多いです。でも実は、コレステロールって体で作られる分が8割で、食事からの影響は2割程度なんですよ。意外でしょう?
血液成分の検査では、貧血の有無なんかもわかります。特に女性の患者さんで「なんとなく疲れやすくて」と相談に来られて、血液検査をしてみたら鉄欠乏性貧血だったということもよくあります。「言われてみれば、氷をボリボリ食べるのが止められないんです」なんて話も出てきたりして。
数値と上手に付き合っていくコツ
検査の内容や見方を少しでも知っていると、自分の健康状態を自身でチェックしたり検査値の推移を見て日常の健康管理に役立てそうですよね。
過去の健康診断結果、捨てずに取っておいてください。去年、一昨年と比べてみると、体の変化がよくわかります。急に数値が悪くなった時は何か原因があるかもしれませんし、じわじわ悪化している時は生活習慣の見直し時かもしれません。
「これって放っておいて大丈夫ですか?」「どのくらいで改善しますか?」そんな疑問があれば、遠慮なく聞いてください。検査結果の紙を片手に、一緒に今後の対策を考えていきましょう。数値に振り回されず、上手に付き合っていけるお手伝いをさせていただきますからね。