健康診断
雇入れ時の健康診断は自腹
ですか?
会社の健康診断、費用は誰が負担するのでしょうか。
就職や転職の際、多くの方がこの問題に直面します。健康診断の費用負担は雇用形態によって異なることがあり、正社員、アルバイト、派遣社員それぞれのケースで確認が必要です。
この記事では、雇入れ時の健康診断について、基本的な費用負担のルールから、雇用形態による違い、さらには内定時の注意点まで詳しく解説します。
これから就職を控えている方はもちろん、人事担当者の方にも役立つ情報をお届けします。
目次
健康診断なるべく早く結果がほしい
雇入れ時の健康診断、費用は誰が負担するのか?
企業負担と自己負担の違いとは?
健康診断費用は誰の財布から?
「雇入れ時の健康診断、会社が費用を負担してくれるの?」という質問をよく耳にします。
結論から申し上げると、労働安全衛生法で定められた法的義務として、原則的に会社が負担します。
健康診断にかかる費用は一般的に3,000円から10,000円程度です。
この費用は、正社員はもちろん、パートタイマーや契約社員として働く方も、一定以上の勤務時間がある場合は会社が負担します。
なぜ会社が費用を負担するのでしょうか。
それは従業員が健康で安心して働ける環境を整えることが、会社の重要な責任だからです。
健康診断を通じて従業員の健康状態を把握し、適切な労務管理や職場環境の改善に活かすことができます。
健康診断の費用負担について不安がある場合は、まず雇用契約書の記載内容や就業規則の関連条項を確認し、わからない点があれば人事部門に相談するとよいでしょう。
なお、会社が用意する基本の健康診断とは別に、任意で追加の検査を希望する場合は、その分の費用が自己負担となることがあります。
ただし、法定の基本項目については、必ず会社が費用を負担します。
※法的義務について(https://obanaika.com/kigyo_kenshin/must/)もご参照ください。
自己負担になるケースとは?
健康診断は原則として会社負担ですが、いくつかの場合で自己負担が発生することがあります。
具体的なケースを見ていきましょう。
勤務時間と雇用期間によって自己負担となるケースがあります。
労働安全衛生法における「常時使用する労働者」に該当しない場合、つまり週20時間未満のアルバイトや、3ヶ月以内の短期契約社員の場合は、健康診断の費用を自己負担としているケースがみられます。
会社指定の基本項目以外の追加検査を希望する場合も、自己負担となることがあります。
例えば、人間ドックでのより詳しい検査や、基本項目に含まれていない検査を希望する場合です。
近年は働き方改革の一環として、法定基準以上の補助を行う会社が増えています。
例えば、短時間勤務者の健康診断費用を負担したり、オプション検査の一部を会社負担としたりするケースも見られます。
不安がある場合は、入社前に人事担当者に確認することをお勧めします。
「健康診断の費用負担について教えていただけますか」と具体的に質問することで、余計な心配や想定外の出費を防ぐことができます。
雇用形態別の健康診断費用負担ルール
正社員の場合
正社員の健康診断、会社のサポートは?
正社員の健康診断費用は、労働安全衛生法に基づき、基本項目について全額会社負担となります。
これは雇入れ時の健康診断だけでなく、年に1回実施される定期健康診断も同様です。
近年、多くの会社では法定の基本項目に加えて、充実した健康管理サポートを提供しています。
35歳以上の社員を対象とした人間ドック費用の補助は、その代表的な例です。
補助額は会社により異なりますが、2万円から5万円程度の補助が一般的です。
また、婦人科検診や胃部検査などの任意のオプション検査についても、会社が費用を負担するケースが増えています。
健康診断の受診時間も、正社員にとって重要なポイントです。
就業時間中の受診は勤務時間として認められ、会社指定の医療機関が遠方の場合は交通費が支給されることもあります。
土日や休日の受診については、会社ごとにルールが異なりますので、事前に人事部門に確認するとよいでしょう。
アルバイト・パートの場合
アルバイトの健康診断、実は自己負担も?
アルバイトやパートタイマーの健康診断費用の負担については、勤務時間と雇用期間がポイントとなります。
前述のとおり、週の労働時間が通常の労働者の4分の3(概ね週30時間)以上の方は、正社員と同様に会社負担となります。
一方で、週の労働時間がそれに満たない場合や、2か月以内の短期アルバイト、季節限定の短期雇用の場合は、自己負担となることがあります。
ただし、働き方改革の進展により、これらの方でも会社が費用を負担するケースが増えています。
特に、長期勤務が見込まれる方や、正社員登用の可能性がある方については、会社負担とする傾向が強まっています。
健康診断の費用負担について不安がある場合は、採用面接時や雇用契約を結ぶ際に確認することをおすすめします。
また、すでに勤務している方は、職場の上司や人事担当者に相談してみましょう。
なお、会社都合ではなく、ご自身の都合で短時間勤務を選択している場合でも、月の所定労働日数が常時使用する労働者の4分の3以上であれば、会社負担となるケースが多いです。
まずは自身の雇用条件を確認してみましょう。
派遣社員の場合
派遣先?派遣元?誰が負担する?
派遣社員の健康診断費用は、雇用主である派遣元会社が負担するのが原則です。
これは、派遣社員の健康管理責任が派遣元会社にあるためです。
派遣労働者の法定健康診断は、労働者派遣法および労働安全衛生法に基づき、派遣元会社の義務とされています。
ただし、有機溶剤を使用する業務など特殊な健康診断が必要な場合や、深夜業務などの特別な勤務形態による追加の健康診断、また派遣先独自の健康診断項目がある場合は、派遣先会社が費用を負担することがあります。
派遣社員も、週30時間以上の勤務であれば正社員と同様の扱いとなり、派遣元会社による費用負担が必須です。
また、派遣契約が1年以上の場合や契約更新が予定されている場合も同様です。
派遣元と派遣先の両方から健康診断の案内が来た場合は、まず派遣元の担当者に確認しましょう。
通常は派遣元の健康診断を受診しますが、業務の特性上、両方の受診が必要になることもあります。
その場合の費用負担についても、事前に確認しておくとよいでしょう。
雇入れ時の健康診断は自己負担?企業負担?費用負担の正しい知識
基本の検査項目と費用相場
健康診断の値段、いくらが妥当?
雇入れ時の健康診断の標準的な費用は、9,000円前後が一般的な相場です。
ただし、医療機関や地域によって料金設定は異なります。
健康診断結果を即日や翌日に発行してくれる場合もあります。
費用が多少かかっても、お急ぎの場合は助かりますね。
地域別の一般的な相場は、都市部で9,000円~13,000円、地方都市や郊外で8,000円~11,000円となっています。
一般的な健康診断には、以下の法定項目が含まれます。
標準的な検査項目
●診察・問診
●身長・体重・視力・聴力検査
●胸部レントゲン検査
●血圧測定
●血液検査(貧血・肝機能等)
●尿検査
多くの企業は健診機関と契約を結んでいます。
また、実施医療機関の規模や受診者数、検査項目の追加の有無、夜間や休日に受診する場合などにより料金が異なることがありますので、注意が必要です。
当院の健康診断の料金(セット料金と追加オプション料金)はこちらです。
オプション検査を追加した場合の追加料金
基本的な健康診断に加えて、オプション検査を追加する場合は、それぞれの検査ごとに追加料金が発生します。
がん検診などのオプション検査は、業種特性や年齢層、また企業の健康管理方針によって選択されることが一般的です。
代表的なオプション検査のおおよその費用相場をご紹介します。
腫瘍マーカー検査は3,000円~5,000円、胃部レントゲン検査は3,000円~4,000円、心電図検査は2,000円~3,000円が一般的です。
また、がん検診では、大腸がん検査が1,500円~2,500円、前立腺がん検査が2,000円~4,000円、婦人科検診では子宮がん検査が3,000円~5,000円、乳がん検査(マンモグラフィー)が5,000円~8,000円程度となっています。
企業がオプション検査を追加する場合、年齢や性別、職種などに応じて必要な検査を選択的に実施することが一般的です。
例えば、45歳以上の従業員に胃部レントゲン検査を追加したり、女性従業員に子宮がん検査を追加したりするケースが多く見られます。
オプション検査の費用負担は、検査の性質によって異なります。
業務上必要な検査(VDT作業従事者の眼科検査など)や福利厚生として実施される検査は企業が全額負担します。
がん検診などの任意性の高い検査は企業と従業員で折半されることが多く、従業員が自主的に希望する追加検査については全額自己負担となるのが一般的です。
オプション検査を選択する際は、企業の業種や従業員の年齢層に合わせて、本当に必要な検査を選ぶことがポイントです。
産業医や医療機関に相談しながら、早期発見・早期治療につながる適切な検査を選択することで、従業員の健康管理に効果的に活用することができます。
▶当院の健診オプション検査の料金はこちらをご覧ください。
内定時の健康診断での費用負担に関する疑問
内定後に健康診断が必要な場合の対応
内定後の健康診断、誰が払うべき?
内定後の健康診断費用は、原則として内定を出した会社が負担します。
これは、内定後の健康診断が雇入れ時健康診断の一環として実施されるためです。
ただし、受診のタイミングや状況によって、費用負担が変わることがあります。
入社前の健康診断では、会社から指定された医療機関で受診する場合は会社負担となります。
一方、自分で医療機関を選んで受診する場合は、事前に会社に確認が必要です。
就職活動中の段階で受ける健康診断は、通常自己負担となる場合もあります。
最近では、企業によってさまざまな対応が見られます。
指定医療機関以外での受診でも、領収書があれば後日精算に応じる会社や、他社の健康診断結果の提出を認める会社、さらには学校の健康診断結果での代用を認める会社もあります。
健康診断の費用負担について不安がある場合は、内定通知を受け取った際に人事担当者へ確認しましょう。
なお、健康診断の結果は原則として内定取り消しの理由とはならず、必要に応じて配属先や業務内容の配慮が行われるため、費用を気にして受診を遅らせることは避けましょう。
複数内定や追加検査が必要な場合の費用
複数内定の健康診断、負担のルールは?
複数の会社から内定をもらった場合の健康診断費用負担については、一定のルールがあります。
最初に受診する健康診断の費用は、その会社が負担するのが一般的です。
ポイントとなるのは、副業・兼業などで勤務する2社目以降の対応です。
多くの企業では、すでに受けた健康診断の結果を提出することで、新たな健康診断を省略できる場合があります。
健康診断結果の有効期限は通常3ヶ月程度とされており、この期間内であれば他社への転用が可能です。
ただし、業種によって必要な検査項目が異なる場合もあるため、結果を流用できるかどうかは、必ず事前に確認しましょう。
追加検査が必要になった場合の費用負担は、会社によって対応が異なります。
会社が追加の検査項目も含めて全額負担するケース、基本項目は会社負担で追加項目は自己負担とするケース、2社目以降はすべて自己負担となるケースなど、様々です。
入社を第一候補として考えている会社の健康診断を最初に受けることをお勧めします。
また、健康診断結果の共有については、「他社の健康診断結果を提出することは可能でしょうか」と、率直に人事担当者に確認してみましょう。
最近では、就職活動の効率化の観点から、複数内定者の健康診断結果の流用を認める企業が増えています。
健康診断の結果管理と受診時の注意点
結果の適切な管理方法
健康診断の結果、どう管理される?
健康診断の結果は、個人の重要な健康情報として、会社で厳重に管理されます。
結果の管理は人事部門や産業医、保健師などの産業保健スタッフが担当し、一般の社員や上司であっても許可なく結果を見ることはできません。
具体的な管理方法としては、紙の結果は施錠できる保管庫で保管され、データの場合はパスワード管理された専用システムで厳重に管理されます。
法律では5年間の保存が義務付けられており、業務上必要な場合のみ確認できる仕組みになっています。
結果の通知は、プライバシーに配慮して、封筒に入れて個別に配布されるか、健康管理システムで個人が直接閲覧する形をとっています。
気になる結果が出た場合でも、それを理由に不当な扱いを受けることはありません。
むしろ、従業員の健康管理をサポートするため、必要に応じて就業時間の調整や業務内容の配慮が行われます。
受診拒否や未受診の対応方法
健康診断を拒否したらどうなる?
健康診断は従業員の健康を守るための法的義務であり、正当な理由なく拒否や未受診の状態が続くと、労働安全衛生法違反として会社から注意を受ける可能性があります。
特に深夜勤務がある職場や、重機・危険物を扱う業務、食品を扱う仕事に従事する場合は、安全衛生上の理由から、必ず受診する必要があります。
ただし、持病があってかかりつけ医で定期的に検査を受けている場合など、健康診断の受診が難しい事情がある場合は、その旨を会社に説明し、かかりつけ医の診断結果を提出することで代用できる場合もあります。
会社としても従業員に健康診断を受けてもらうことは重要な責任です。
そのため、多くの会社では受診しやすい環境づくりに努めており、就業時間内の受診を認めたり、近隣の医療機関と提携したりするなどの配慮をしています。
心配なことや不安がある場合は、人事部門や産業医に相談してみましょう。
健康診断の結果は厳重に管理され、業務上の配慮にのみ使用されます。
従業員の健康管理のために、定期的な受診を心がけましょう。
当院では、企業・団体健診も随時受付けております。御見積りを承りますので、お気軽にお電話でご相談ください。
https://obanaika.com/kigyo_kenshin/
まとめ:健康診断費用負担の基本ポイント
雇入れ時の健康診断、押さえておくべきポイント
健康診断の費用負担、これだけは覚えておこう!
雇入れ時の健康診断について、重要なポイントを整理しましょう。
費用負担の基本は会社負担です。
これは労働安全衛生法で定められた会社の義務であり、従業員の健康管理のための大切な制度です。
標準的な健康診断の費用は9,000円程度で、地域によって金額は異なります。
都市部では比較的高額になる傾向にあります。
雇用形態による違いも重要なポイントです。
正社員はもちろん、週30時間以上勤務のパートタイマーや契約社員も会社負担となります。
派遣社員の場合は派遣元企業が負担し、内定時の健康診断も、指定医療機関での受診であれば会社負担となるのが一般的です。
最近では、法定項目以外の検査も会社が用意するケースが増えています。
人間ドックの費用補助やオプション検査の一部負担など、充実した健康管理サポートを提供する企業が増えているのです。
健康診断の結果は個人情報として適切に管理され、業務上必要な配慮にのみ使用されます。
結果によって不当な扱いを受けることはありませんので、安心して受診しましょう。
最後に、健康診断に関して不明な点がある場合は、必ず人事部門に確認することをお勧めします。
従業員の健康管理は会社にとって重要な責任であり、みなさんの不安や疑問に丁寧に対応してくれるはずです。
定期的な健康診断を通じて、心身ともに健康な職場生活を送りましょう。