
健康診断
雇い入れ時健康診断の領収書
はもらえるのか?
「健康診断を受けてきてください」新しい会社に入る前にこのようにと言われたことはありませんか?
多くの人が「雇い入れ時健康診断の領収書はもらえるの?」「お金は誰が払うの?」と不安に思っているようです。
実は、健診費用の支払い方や会社とのお金の精算方法は、勤め先によって全然違います。
事前に確認しておかないと、あとでお金のトラブルになることもあるので要注意です。
この記事では、入社する時の健康診断について基本的なことから、誰がお金を払うのか、領収書はどうすればいいのかまで、わかりやすく説明します。
健康診断についてのモヤモヤした疑問や不安を、スッキリ解消していきましょう!
目次
健康診断なるべく早く結果がほしい
雇入れ健康診断の基本情報
健康診断を実施する大切な理由

未来の働きやすさは今日の健康チェックから始まる!
「雇い入れ時健康診断の領収書はもらえるのか?」と疑問にお答えする前に、雇入れ健康診断の基本についてご説明します。
雇入れ健康診断は、労働安全衛生法という法律で会社に実施が義務づけられている検査です。
新しく採用した社員の健康状態を早めに把握することで、その人に合った仕事を割り当てたり、必要な配慮をしたりして、けがや長期休職のリスクを減らす目的があります。
一般的な検査内容は、血液検査、胸のレントゲン、視力・聴力検査などで、生活習慣病や感染症のリスクをチェックします。
もし大きな病気や体力的に負担のかかる持病が見つかれば、その人に合った仕事内容の見直しやサポートを行うことができます。
これは社員自身にとっても大きなメリットがあります。
早めに治療や生活習慣の改善をして健康を守りながら、スムーズに仕事を続けられる基盤を作ることにつながるからです。
会社としても、社員が安心して働ける環境を整えると、長く働いてもらえて、仕事の効率も維持しやすくなるという良い点があります。
定期健診との違いを知っておこう
誰が、いつ受けるの?わかりやすい比較

健康診断にはいろいろな種類があります。
よく知られているのは、年に1回の「定期健康診断」と、採用時に行われる「雇い入れ時健康診断」です。
この二つの大きな違いは、定期健診が今働いている社員全員が対象なのに対して、雇い入れ時健康診断は新しく入る人だけが対象という点です。
法律では、採用されたらできるだけ早く健診を受けるよう決められています。
会社によっては「入社する前に受けておいてください」と言われることもあるでしょう。
検査の内容は定期健診とあまり変わらないことが多いですが、入社の直前や直後に行われるため、会社があなたの健康状態を最初からきちんと知ることができるという大切な意味があります。
健診の種類ごとの特徴を頭に入れておけば、自分のスケジュールを立てやすくなり、必要な準備もスムーズに進められるので安心です。
健康診断費用と領収書に関する基本情報
費用の負担者は誰か?

健診代は誰が払う?
雇い入れ時健康診断について、心配事のひとつに「誰がお金を払うの?」という点が挙げられるのではないでしょうか?
労働安全衛生法では、雇い入れ時健康診断は会社の義務として定められているため、原則として費用は会社が負担するものです。
しかし、実際にはいろいろなパターンがあります。
多くの会社では、会社が指定した医療機関で受診する場合、会社と医療機関が直接契約しているので、あなたが支払う必要はありません。
会社から健診チケットをもらって医療機関に持っていくだけというケースも多いです。
一方、入社前に個人で受診するよう求められる場合は、一時的に自分でお金を払い、後で会社から返してもらう「立替払い」になることがあります。
入社後の給料と一緒に精算されたり、別途経費精算されたりします。
注意したいのは、全額が戻ってくるとは限らないことです。
基本検査は会社負担でもオプション検査は自己負担だったり、上限金額を超えた分は自己負担だったりと様々です。
交通費も別扱いになることが多いので確認が必要です。
精算方法も会社ごとに違います。
入社日に領収書を提出して翌月の給料で精算する会社もあれば、経費精算システムで申請する会社もあります。
会社によっては健康保険組合が健診費用を補助してくれることもあり、その場合は指定の医療機関や事前の受診券が必要になることもあります。
トラブルを避けるには、内定をもらった時点で人事担当者に「健康診断の費用はどうなっていますか?」と直接聞き、メールなどで記録を残しておくのが一番です。
「会社が費用を負担します」と言われても、どこまで負担してくれるのか、いつどう精算されるのかまで確認しておくと安心ですね。
「オプション検査も負担してもらえますか?」「交通費は含まれますか?」など具体的に質問すると良いでしょう。
大企業と中小企業では対応が異なることも多いですが、いずれにしても費用負担の仕組みを理解して準備しておくことが大切です。
領収書の取得と提出
会社名義での発行や電子領収書の扱い

自分でお金を払って健診を受けた場合、後で会社にお金を返してもらうためには領収書が必要です。
この領収書の扱いは意外と重要で、ちょっとした不備が後々の手続きで問題になることもあります。
会社によっては、領収書の宛名を「個人名」ではなく「会社名」にするよう言われることがよくあります。
これは会社の経理処理のルールによるもので、医療機関の受付で「領収書の宛名は○○株式会社でお願いします」と最初に伝えることが大切です。
領収書に必要な項目も確認しておきましょう。
日付、金額、医療機関名と押印はもちろん、「健康診断料として」などの但し書きが必要な場合もあります。
現在はキャッシュレス決済も普及していますが、会社が電子領収書を認めるかどうかは確認が必要です。
中には「紙の原本のみ」と指定する会社もあるので、支払い方法を選ぶ前に確認しておくと良いでしょう。
このような細かい要件は事前に医療機関に伝えておかないと、後から変更を依頼しても対応できないことがあるので注意が必要です。
受診前に会社の経理担当者に「領収書はどのような形式が必要ですか?」と確認しておくのがベストです。
領収書をもらったら、必ず安全な場所に保管し、コピーを取ったり、スマホで写真を撮ったりしておきましょう。
特に原本提出が求められる場合は、控えがないと後々困ることになります。
提出のタイミングも会社によって異なるため、いつまでにどこへ提出するのかも忘れずに確認しておきましょう。
事前の確認と準備で、スムーズな手続きにつなげることができます。
領収書に関してよくある疑問
提出期限に間に合わないとき

領収書が仮証明として役立つケースも
健康診断を受けたのに、結果が入社日までに間に合わない!そんなときに役立つのが領収書です。
健康診断の結果が間に合わなくても、「ちゃんと受診しました」という証明として領収書の提出を認めてくれるケースもあります。
領収書を提出することで「健診はきちんと受けました、結果待ちです」ということを会社に伝えられるので、「健診をサボっている」と思われる心配がありません。
会社からの信頼を保ち、余計な心配をかけずに済みます。
特に繁忙期には健診結果が出るまで1〜2週間かかることもある(当院では翌営業日での結果お渡しが可能:雇入時健康診断(血液検査あり)¥9,180~翌営業日結果・郵送対応)ため、入社日直前に受診した場合は、まず領収書だけを提出して、結果は後日提出するという流れが一般的です。
一部の会社では、このような「仮提出」の手続きを正式に認めているところもあります。
仮提出する際は「結果は○日頃に届く予定です」と一言添えておくと、さらに誠実な印象を与えられるでしょう。
再発行は可能?
領収書をなくした時の3ステップ対処法

領収書をなくしてしまった!そんなパニックになる前に、まずは落ち着いて対応策を考えましょう。
多くの人が経験するトラブルなので、解決策を3つのステップでご紹介します。
多くの医療機関では、領収書の再発行は難しいと思われます(当院ではトラブルを避けるため、領収書の再発行は行っていません)。
ただし医療機関によって対応は異なり、再発行には500円〜1,000円程度の手数料がかかることもあります。
できるだけ早めに受診した医療機関に電話で相談するのがベストです。
再発行を依頼する際には「受診した日付」「受診者の名前」「健康診断を受けたこと」を伝えると、スムーズに手続きが進みます。
また、会社から指定された宛名があれば、それも忘れずに伝えましょう。
なお、領収書は大切な書類なので、もらったらすぐにスマホで写真を撮っておくか、コピーを取っておくことをおすすめします。
特に「原本の提出」が求められる会社も多いので、提出前に必ず控えを残しておきましょう。
万が一の時に落ち着いて対応できるよう、紛失に気づいたら早めに職場の担当者や医療機関に相談をすることが大切です。
企業側の視点と本音
企業が領収書を重視する理由

なぜ領収書が必要なの?切実な事情
「なぜ会社は領収書にこんなにうるさいの?」と思ったことはありませんか?
実は会社側には切実な理由があるのです。
企業は健康診断費用を「福利厚生費」として経費に計上します。
つまり、会社の支出として税金計算に関わる重要な書類のため、経費として認められるためには、きちんとした証拠書類(領収書)が欠かせないというワケです。
特に気をつけたいのは、税務署による調査です。
健康診断費用が本当に会社の業務に関連した正当な支出であることを証明するため、宛名が会社名になっていること、日付が正確であること、但し書きがきちんとしていることなどが重要になります。
「宛名が違う」「日付が不明確」「押印がない」などの不備があると、税務調査の際に経費として認められないリスクがあるため、会社は細かく指定する必要があるのです。
会社の経理担当者が「領収書の宛名は会社名で」などとしつこく言うのは、単なる規則好きではなく、会社の会計処理を正確に行うための必要な対応といえます。
こうした背景を理解していれば、会社からの細かい指示も「面倒くさい」と感じるのではなく、重要な手続きとして前向きに対応できるでしょう。
健康診断に関するトラブルと対処法
費用に関する誤解と防止策

「全額会社負担」の曖昧な表現に注意
「健康診断は会社が費用を負担します」と言われて安心したのに、後から「この部分は自己負担です」と言われてびっくり!そんな経験をした人は少なくありません。
実際によくあるのは、「基本的な検査項目は会社負担だけど、オプション検査は自己負担」というケース。
例えば、一般的な血液検査やレントゲンは会社が払ってくれるけど、ピロリ菌検査や腫瘍マーカー検査などのオプションは自分持ちという形です。
また「上限○○円まで会社負担」と決まっていることもあり、それを超えた分は自己負担になります。
健診費用が9,000円で上限が8,000円なら、差額の1,000円は自分で払うことになるのです。
さらに、健診費用は会社負担でも、医療機関までの交通費は含まれないというケースも多いです。
こうしたトラブルを防ぐには、単に「会社負担」という言葉を鵜呑みにせず、具体的に確認することが大切です。
「基本検査とオプション検査、どこまでが会社負担ですか?」「上限金額はありますか?」「交通費は含まれますか?」など、細かく質問しましょう。
そして、口頭での説明だけでなく、メールや書面で回答をもらうと後々のトラブル防止になります。
「確認のため、メールでもいただけますか?」と一言添えるだけで、後から「聞いていない」「言った・言わない」という問題を避けられます。
入社前の健康診断で余計な出費やストレスを抱えないよう、事前確認をしっかり行いましょう。
提出書類の形式に関するトラブル
宛名や印鑑が不備だと再提出に

健康診断の領収書を提出したのに「これでは受け取れません」と言われてがっかり…そんな経験をする人は意外と多いようです。
領収書が認められないよくある理由はいくつかあります。
まず「宛名問題」です。
宛名が個人名(あなたの名前)になっていて会社名ではないため却下されるケースが最も多いでしょう。
会社の経理処理では会社名宛ての領収書でないと処理できないことが多いためです。
次に「押印問題」です。
医療機関の正式な印鑑(角印や丸印)が押されていないため無効とされることがあります。
特に手書きの領収書の場合は要注意です。
また「日付問題」も見落としがちです。
発行日が古すぎる(例えば前年度の日付)と、当期の経費として計上できないため認められないこともあります。
特に3月〜4月の年度変わりの時期は注意が必要です。
さらに「記載内容問題」です。
ただ「領収書」と書かれているだけで、何の支払いか明記されていない(「健康診断料として」などの但し書きがない)ため、追加の証明が求められるケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐには、会社から領収書の形式について具体的な指示があれば、それに従うことが大切です。
明確な指示がない場合は、「領収書はどのような形式が必要ですか?宛名や但し書きなど、特に指定はありますか?」と事前に確認しておくと安心です。
提出前にも「宛名は会社名になっているか」「押印はあるか」「日付は適切か」「但し書きは明確か」の4点をチェックしておけば、再提出のトラブルを避けられます。
小さな注意点ですが、スムーズな入社手続きのためには大切なポイントです。
雇い入れ時健康診断の領収書はもらえるのか?:まとめ
事前確認と書類管理がカギ

スタートで差がつく!トラブル知らずの必須ポイント
雇い入れ時の健康診断は、新しい会社との信頼関係を築く大切な第一歩です。
健診自体はたった数十分の出来事ですが、その前後の手続きをスムーズに進めることで、あなたの「仕事ができる人」という印象を強めることができます。
特に重要なのは「事前確認」と「書類管理」の2つです。
健康診断を受ける前に、費用の負担者(誰が払うのか)、健診内容(何の検査をするのか)、提出期限(いつまでに結果を出すのか)、領収書の扱い(宛名や形式はどうすべきか)についてしっかり確認しておきましょう。
具体的に確認すべきポイントは、「健診費用は全額会社負担なのか一部自己負担なのか」「領収書の宛名は会社名にする必要があるのか」「健診結果の提出期限はいつか」「もし期限に間に合わない場合はどうすればよいのか」などです。
これらを人事担当者に事前に確認し、可能であればメールなどで記録に残しておくと安心です。
受診後は書類の管理も大切です。
健診結果や領収書は必ずコピーやスキャンを取っておきましょう。
原本を提出した後に「届いていない」というトラブルが発生した場合でも、控えがあれば安心です。
健康診断は「健康状態の確認」という本来の目的以外に、「約束をきちんと守れる人かどうか」を見る最初のテストでもあります。
費用負担や書類提出などの小さな約束事をしっかり守ることで、新しい職場での信頼関係を着実に築いていきましょう。
事前の確認と準備を怠らず、余裕をもって健康診断を受けることで、スムーズな入社準備を進められます。
新しい職場でのスタートを、不安なく迎えられることを願っています。